フィギュアスケートのアレコレ

フィギュアスケートのアレコレについて語るブログです。

【ジャパンオープン】 高橋大輔選手の演技

初見から高橋大輔選手の集大成にふさわしいプログラムだと確信しましたし、僕はこのフリーをオリンピックで滑ってほしいと心から思います。
いわゆる「五輪向き」な作品かといわれれば、どうだろう。少なくとも王道でないことはたしかか。しかし、世界中の多くの人の胸に、何かしらの感慨をもたらすものになるはずだ、という希望を、僕はこのプログラムに対して持つことができる。結果として、この上なくその舞台に合ったものになるだろうと。

メドレーはとても難しいと思うんです。でもその難しさを、このプログラムは非常によいかたちでクリアしていると思う。すごく自然に感じられるんですよね。1ページずつ、穏やかに綴られていく物語とでもいうのか。全体として抑制が効いていて、激しさも激しいままに伝えないよさがあるというか、だからこそ際立つ凄みがあり、またしみじみと心に訴えかける情感がある。
特にどのパートがということはなく、4分半で1つのストーリーを感じたい。その時間に浸っていたい。僕は自分が高橋選手のファンであるという強い自覚がありますから(笑)、思い入れもそれなりにすごいわけです。それらが反映され、どうしようもなく泣きそうになる、みたいなところはあるかもしれません。でもファンだから、特別な思いがあるからどうこうという境界のようなものは、このプログラムには決してないと思います。

しかし、泣いたっていいんです。それぞれがそれぞれに、いろんな思いを託せばいいし、いろんな意味を受け取ればいい。そうした当たり前のことが当たり前のようにできる、きわめて間口の広い作品だと僕は思います。そしてそうなる理由は、そんな一人一人を結びつける共通項は、やっぱ(テーマといわれる)「」ですよ。愛がなければ生きていけない。愛し合うことだけはどうしてもやめられない(※1)。どうした?オレ。
でも、「今は一緒にいなかったり、もう会う機会がない人もいる。それでも、そうした人たちのおかげで自分はある。かかわってくれたすべての人たちへの感謝の気持ちを思い出させてくれる」(※2)、たしかにそういうプログラムだと思うよ。だから、通じないわけはないでしょう? 誰だって、「そうした人」はいるのだから。

…と、ここまでは「なんつって」としか自分でもいいようがないわけですが(笑)、その言葉にウソはありません。通じないわけはない…かはわからないけれど、そうあってほしいとは思います。心から。
とにかく、「自分で変えられないものを受けいれて、変えられるものを変えていく」(※3)、この精神を真に実践し、それこそ山あり谷ありの経験を経ながら、新しい試みに貪欲で、変化に柔軟で、壁に当たればそのときはそのとき、またそこから歩き出せばいいといえる、そんないまの高橋大輔だからこそ演じられるこの作品を、僕は絶対ソチで見たい!

この日の演技の内容については、本人がいうように「これが今のすべて」だったのかなと。体調を崩し、万全の状態で臨めなかったことも大きいと思うので。まだまだシーズン序盤ですからね。
しかしジャンプ、特に4回転に関しては、精度を上げていかないと厳しい。それはどの選手も同じなわけですが、それも含めて総合的に、現時点での高橋選手の立ち位置は、決して楽観できるものではないと思っています。そんな選手いるの?というくらい、この国の代表争いは「壮絶」といえると思うのですが、その中でも…ということですね。かといって、悲観とかするわきゃないですけども。

ステップは、もうすごいとしかいいようがない。ダンサー大輔ここにアリ!という感じ。でもそのあとの"Friends and Lovers"に入ったところか、そこの表現もいいんだよなー。大輔すげー!と息もつけずにいた体を、今度はやさしく包み込んでくれるような感覚。あくまで感覚。想像はするな。でも大きく伸びやかで、やわらかくていいな。
"In my Life"では、少し感傷的になってしまった自分をまたやさしく引き戻して、次の頁へと誘導してくれる役割があるような。これまでを振り返りつつ、その思い出を抱きながら、でもまだ人生は続いていくんだよと。今日は語るなー。けど、そういうつながりが感じられる構成だと思う。その結果、前後双方が引き立つんですよ。

最後のコリオシークエンスもいい。サーペンタインという感じの形状でしょうか。まだ引き続き見守りたい部分はあるのですが、全体的なリンクの使い方もいいんじゃないかな? そのあたりは、ニコルさんが得意とするところではないかと思いますし、あらためていうまでもないのだけれど、本当によく滑る選手ですから、高橋大輔は。その滑りのすばらしさも発揮できる構成になっていると思います。
スピンについては、「今回フリーを練習してきた中で何回も変えてきた部分」(※4)だそうですし、体力的な限界がある中で、「今日はこれでいっぱいいっぱいです」的なところが出ていたのかなと。しかしそんな中にも、このプログラムで自分らしく表現するには、どうすればよいか?という点を模索しているさまは感じ取れ、その出来に期待したいです。

以下、その構成は…
単一姿勢のスピン(FSSp)
フライング・エントランス
シット・フォワード
ジャンプにより行われる足換え
シット・ビハインド
→ レベル判定は「3」。最後のビハインドでしょうか?

フライング・エントランスのスピン(FCCoSp)
キャメル・サイドウェイズ
キャメル・フォワード
サイドからバックへの姿勢変更
エッジの変更

→ 今季から以下のように「キャメル姿勢」のバリエーション(カテゴリ)の定義が変更。
キャメル姿勢としては肩のラインの方向を基にして3カテゴリーある:
- (CF) キャメル・フォワード:肩のラインが氷と平行になっている
- (CS) キャメル・サイドウェイズ:肩のラインがねじれていて垂直な姿勢になっている
- (CU) キャメル・アップワード:肩のラインがさらにねじれていて、水平もしくはほぼ水平な姿勢になっている

それに則って判断すれば、上記のようになるのかなと。1つ目のバリエーションは、膝がヒップよりやや落ちているように見えなくもないですし、回転数も十分とはいえないため、認められていない可能性が。次はキャメルとしてはOKだと思うのですが、これもその姿勢が成立してからの回転数が微妙なところか。
足換え後は、シット姿勢の回転数もちょっと微妙な感じが…。サイドからバックへの変更も「明確」でかつそれぞれ3回転ずつが必要、チェンジエッジもその回転数が問われますから、全体的に少なくとも十分な実施とはいえないのだと思います。シットの不足で一発レベル1なのか、フィーチャーが1つしか認められなかったのか、はたまたその他の理由か。

いずれにせよ、ジャンプからコリオシークエンスの間に、余裕をもってこなすことが求められる要素ですから、プログラム構成上もスピンそのものの構成からいっても、選手としては大変な場面ではないかと推測。終盤でもありますし。

スピン・コンビネーション(CCoSp)
バックワード・エントランス
アップライト・ストレート
シット・サイドウェイズ
→ このスピンに関しては、それこそ「今日はこれで勘弁してください」というところだったのでは。完全に「体力」の問題だと思います。予定していた構成もすべてこなせなかったのだと思いますし、キャメル姿勢とシット姿勢が不完全な、基本姿勢が1つしかないスピン・コンビネーションでノーバリューということではないかと。
入りの部分がヘンテコになってしまったのは、おそらく関係ないと思うのですが、これ全体が「おそらく」レベルの分析なのであしからず。

以上、いわれるまでもなく自分でツッコミますが、なげーよ。でも、あふれる思いがそのままあふれ出して収拾がつかなくなったもの…とご理解ください。このプログラムが好きだ!高橋選手の演技が大好きだ!という気持ちが少しでも伝われば、そしてそれが共有できたとすれば、それ以上のことはなく。
それよりなにより、まずは「スケートアメリカ!」ですよね。開幕までの待ち時間さえ愛しい、そんな季節がやってきました。

(※1:幸村誠著『プラネテス』第4巻)
(※2:sankei.jp.msn.com/sports/news/130711/oth13071119060017-n1.htm)
(※3:www.kansai-u.ac.jp/sports/message/takahashi/2008/11/index.html)
(※4:sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/figureskate/all/1213/columndtl/201310050004-spnavi?page=2)
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[ 2013/10/12 19:20 ] 13/14終了した大会 | TB(0) | CM(2)
まるっと同意します
オリンピックにふさわしいプログラムであること、まるっと同意します。
願わくば、スケアメまでに体調が回復し四回転が戻ってますように。
NHKのラッピングバス映像で脚を引きずってましたが、なんともないことを願ってやみません。
頑張れ、高橋大輔!
[ 2013/10/13 19:38 ] [ 編集 ]
Re: まるっと同意します
まるさん、こんばんは。

> オリンピックにふさわしいプログラムであること、まるっと同意します。

それは心強いです!

> NHKのラッピングバス映像で脚を引きずってましたが、なんともないことを願ってやみません。

そうなんですか…。それは気になりますね。大事でなければよいのですが。

タロウ
[ 2013/10/13 20:33 ] [ 編集 ]
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